日本の尺時計
農村といえば、紀ノ川河口の加太の近く、現在和歌山市古屋に正立寺という浄土真宗の寺があります。
この寺には時報の基準にしていた尺時計と須弥山儀が所蔵されています。
かつて常香盤もあったらしいですが、現在は不明です。
しかし驚くべきは同寺所蔵の須弥山儀で、その直径約80センチ、台盤は木造、漆塗りに貝の象眼が施されている豪華なものです。
四季、何月何日、何の刻といった表示が時計仕掛けで示され、太陽と月が須弥山・四州を回るようになっている精巧なものです。
僻村の小さな寺が、こうした天文時計をもって時刻を測り、独自の暦も発行して、村民に配布していたといいますから、いささか感動を覚えますね。
まだD&G 時計のような腕時計がなかった頃の話ですよ。
この須弥山儀をつくったのは、実は幕末から明治初年に正立寺住職であった中谷桑南。
桑南は西洋から伝来した地動説に反対するため、京都へ出て本願寺で天文・暦法を研究、佐田介石(1818~82)とともに須弥山儀3台をつくりました。